2021年度のエステティックサロン市場規模は前年度比2.4%減の3,270億円の見込
~施術におけるコロナ禍の影響は残るものの、物販が伸長~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内エステティックサロン市場を調査し、都道府県別や施術別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況
2021年度のエステティックサロン市場規模は事業者売上高ベースで3,270億円、前年度比97.6%と減少の見込みである。施術・物販市場別にみると、総市場の7割弱を占める施術市場(レディス)が2,181億円(前年度比96.4%)、メンズエステ市場が93億円(同96.9%)でマイナス推移、物販市場については996億円(同100.5%)のプラス推移を見込む。コロナ禍2年目となる2021年度に入っては、東京をはじめとする都市部を中心に、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が断続的に発出されたものの、店舗休業はなくウィズコロナの意識も広がったことから、少なくとも2020年度とは状況に変化が出ている。物販分野は、WEB販売拡大により2020年度に続き伸長している。
2.注目トピック
総合エステサロンの企業買収による集約化
業界最大手企業が2021年7月、中堅企業の株式を譲受し傘下におさめた。近年、脱毛特化型サロンを含めて、事業体制が変わる事例が断続的につづいており、業界再編が進行している。今回の事例では、同じ総合エステサロンの枠組みながら、異なる客層をもつサロンのグループ化であり、買収された側のブランドは継続されることが発表されている。
3.将来展望
2022年度のエステティックサロン市場規模は事業者売上高ベースで3,272億円と、前年度比100.1%を予測する。
2022年度以降のエステティックサロン市場の予測にあたっては、前年同期と異なり、コロナ禍収束への一定の道筋が見え始めたという点で大きく異なる。エステティックサロン業界において、昨年来のコロナ禍は経験のない事象であり、マイナスの影響に目を奪われがちであるが、今後を見通す上で業界にプラスの要素を考えてみると、最大の課題とも言える新規客獲得の可能性がある。施術分野において、これまでメンズエステの顧客は美意識の高い富裕層で固定化していたが、コロナ禍を契機としたリモートワークで自身の顔を正面から見る機会が圧倒的に増えていることで、エステティックサロン初体験の40~50代男性の問合せや施術受注が増えている。美顔だけでなく痩身にも同じことが言え、自粛太りを理由にワークアウト系ジムではない選択肢として、エステティックサロンを選ぶケースも増えている。