「都道府県別・美容サロン利用金額ランキング」  圏外からの東京大躍進&注目の北陸エリア

ホットペッパービューティーアカデミーが7月に発表した「【都道府県別】 20代・30代女性の美容意識・実態調査2021」(調査実施2021年2~3月)から、都道府県別に見た美容サロン利用の特徴を解説します。

①美容サロンの3カ月あたりの平均利用金額、1位は「東京都」

「都道府県別・美容サロン利用金額ランキング」  圏外からの東京大躍進&注目の北陸エリア

美容サロン(美容室、ネイルサロン、エステサロン、リラクゼーションサロン、アイビューティーサロン)の3カ月あたりの平均利用金額を調べると、1位は東京都の7,656円、2位は愛知県の7,555円です。

都道府県別調査は今年で2回目(1回目は2020年2月に調査)ですが、実は東京都は昨年(コロナが本格化する前)の調査では13位。トップ10圏外だったのです。美容サロン利用金額自体も6,551円から増加しました。

東京都でコロナ禍に一気にサロン利用金額が上昇し、順位を上げた背景には何があったのでしょうか?

②各美容サロンの利用率は「東京都」がほぼ1位!

②各美容サロンの利用率は「東京都」がほぼ1位!

美容サロンの利用率(年1回以上の利用)では、「ネイル」「エステ(ボディ/痩身)」「リラクゼーション(着衣・脱衣)」「アイビューティー」の利用率1位を東京都が独占しました。多様なサロン使いが、美容サロン利用金額を押し上げていると考えられます。

なお、「ネイル」は昨年も東京都の利用が1位だったのですが、「エステ(ボディ/痩身)」「リラクゼーション(着衣)」「アイビューティー」の利用率が1位になるのは今回が初めて。コロナ禍の東京都で美容サロン利用が今年非常に進んだことが分かります。

背景には、コロナ禍で美容サロン利用が「レジャー等の代替」に利用されるようになったと聞いており、コロナ禍の影響も大きそうだと考えます。

③美容室の年間利用金額、全国1位は「愛知県」

③美容室の年間利用金額、全国1位は「愛知県」
続いて、美容室の利用者の「年間利用金額」(年間利用回数×1回あたりの利用単価で算出)を見てみましょう。全国1位は愛知県の3万4,432円でした。美容サロン利用金額で1位だった東京都も5位と高いです。

それでは愛知県の美容室利用の特徴を見てみましょう。

④高単価メニューの年間利用回数が多い「愛知県」

④高単価メニューの年間利用回数が多い「愛知県」
愛知県は「カラー」「パーマ」「トリートメント」など高単価メニュー利用者の年間利用回数が全国比で多いことが特徴的です。

つまり、高単価メニューの利用において、お客さまの「ロイヤルカスタマーの比率」が、全国トップクラス。上質なものを求めるお客さまが多いことがうかがえます。

愛知県というと、「結婚式が豪華」というイメージや、かつては「名古屋巻き」という縦型の巻き髪の流行など、華やかな装いの風習・文化を持つイメージも強いエリアではないでしょうか。

⑤「富山県」の美容サロン投資が高い理由は?

富山県の所得等データ

美容室の年間利用金額2位は富山県です。富山県は美容サロンの利用金額も全国で4位と、美容室・美容サロン利用への投資が積極的なエリアでした。

ここでは、富山県が2位となった背景について考えてみたいと思います。

「2019年全国家計構造調査」では、富山県の世帯単位での年収は、全国で4位!さらに、貯蓄から負債を控除した純金融資産は、全国1位!「家計のゆとり」では全国上位に位置しているのです。

加えて、総務省の「平成29年就業構造基本調査*3」によると共働き世帯比率も全国3位。働く女性が多いのも、身だしなみへの投資金額が高い背景にありそうです。

⑥北陸エリアは美容利用のポテンシャルが高い?

北陸エリアは美容利用のポテンシャルが高い?

実は今回の調査で特徴的だったのは、「富山県」以外にも「福井県」(フェイシャルサロン利用率 全国1位)、「石川県」(美容サロン利用金額 全国5位)など北陸地方の美容サロン投資が活発だったことです。

背景として考えられるのは、北陸エリアの「所得」や「共働き世帯比率」の高さです。特に共働き世帯比率1位の「福井県」では、3世帯同居率も高いそうです。

美容サロン消費に積極的な背景には、生活のゆとりや、身だしなみの意識の高さがあるのかもしれません。

都道府県別の美容トレンド、いかがでしたでしょうか?

今回のランキングからは、美容の消費は東名阪の3大都市圏に集中しておらず、むしろ地方の美容投資も積極的なことが分かりました。働く女性が多い県ほど美容投資が高まることからも、美容は「流行」ではなく、「身だしなみの必需」と捉えられていることがうかがえます。

田中 公子:ホットペッパービューティーアカデミー研究員

田中 公子

TANAKA KIMIKO/前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。調査研究員として、「美容センサス」をはじめとする美容サロン利用調査や美容消費の兆しを発信。セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。共著に『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか。

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