エステサロンの売却価格相場は、概ね「時価純資産+営業利益×3~5」が目安です。また、エステサロンの売却は、事業承継の手段として活用できます。売却・M&Aのメリットや最新動向・事例も徹底解説します。(執筆者:京都大学文学部卒の企業法務・金融専門ライター 相良義勝)
引用:エステティックサロン市場に関する調査を実施(2020年)(矢野経済研究所)
2020年度には緊急事態宣言期を中心にコロナ禍で打撃を受けましたが、エステサロンは個室による施術が主流であり、比較的衛生環境をコントロールしやすいことから、コロナ禍の影響は限定的であると考えられます。
人材不足問題
エステティシャンの労働環境に対するイメージ低下や、ワークライフバランスに関する一般的な意識の変化により、業界全体で人手不足の問題が深刻化しています。
競争激化
エステサロン業は許認可や国家資格が不要で、比較的少ない資金での開業も可能であることから、参入障壁が低く、競争が激化しやすい性質を持っています。
近年の人手不足による人件費上昇も、競争を激化させる要因となっています。
小規模サロンがひしめく業界構造のなか、倒産にいたる例も少なくありません。
東京商工リサーチの調査によると2019年には倒産件数が73件にのぼり、過去最多を更新しました。[2]
業態多様化
エステサロン業界においては厳しい競争のなかで多種多様な業態が開発されてきました。
近年とくに注目を集めている業態としては、オリジナル化粧品の展開、男性向けエステ、セルフエステなどがあります。
オリジナル化粧品の展開
施術に加えてオリジナルの化粧品を販売することにより新たな収益源が獲得でき、オリジナル商品を施術と絡めて提案することで売上の相乗効果を図ることも可能です。
オリジナル商品の展開はサロンのブランド価値を高める上でも有効です。
メンズエステ
メンズコスメの市場が近年拡大を続けており、コロナ禍の影響が部分的には見られるものの、今後も拡大傾向は継続するものと予想されます。[3]
コスメ分野に比べて男性向けエステサロンはまだ開拓が進んでおらず、今後の発展が大いに期待される領域です。
セルフエステ
セルフエステとは、店舗に設置された業務用エステマシンを利用者が自分で操作してケアを行うという仕組みの業態です。
エステティシャンが不要で、受付や操作説明を担当するスタッフだけで営業が行えるため、人手不足の緩和と人件費の大幅な削減が可能です。
料金は通常のエステサロンに比べて格安となっており、月額のサブスクリプション型が一般的です。
セルフエステサロンは低価格路線の極限と言える存在であり、感染予防の面でも有利であることから、今後の市場拡大が予想されます。