初の補助金申請に挑む経営者が作成した様式2と3をどのように修正し、採択を勝ち取ったか。前回のコラムでご紹介した、地方都市郊外に立地するロードサイド店舗であるエステサロンの事例を引き続き見ていきます。
強みは結果ではなく要因
このエステサロンの経営者からいただいた様式2の「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の欄は【自社の強み】と【自社の提供する商品・サービスの強み】と見出しを設け、さらにそれぞれを箇条書きにしている点は非常に良いと思いました。
その中には、強みとして以下の記述がありました。
「エステの内容や仕上がりのクオリティーは都会の店舗と引けを取らない」
「毎回同じスタッフからサービスが受けられるので安心」
「バストのボリュームを落とすことなく痩せることができる」
「まつ毛パーマの仕上がりが美しい」
これらは【結果】です。このような素晴らしい結果を出すことができる【要因】が同店の強みですので、これを検討していただき、書き直していただきました。
また【自社の強み】で箇条書きが12個、【自社の提供する商品・サービスの強み】ではそれが4個、強みの記述だけで文字数が1,400文字となっており、読みにくい印象を抱きましたので、【自社の強み】に関しては、「人」「物」「金」「情報」という経営資源の切り口で以下のようにまとめていただきました。
「人」つまり人的資源では、経営者やスタッフの長所
「物」つまり物的資源では、店舗の立地
「金」つまり財務的資源では、借入金の少なさ
「情報」つまり情報的資源・ノウハウでは、ホームページや予約システムの特長
多数の文字・項目もこのようにグルーピングすることで、自身の思考も整理され、読みにくさも軽減することができます。
売上高目標を設定する重要性
「4.経営方針・目標と今後のプラン」では、【経営方針】【目標】【今後のプラン】と見出しを設けて書いている点は良いと思いました。
【経営方針】には、前回のコラムで述べた通り「2.顧客ニーズと市場の動向」に記載されていた【特に力を入れてアピールしたいターゲット層】を盛り込み、誰に向けて事業を展開するのか明確にしました。
【目標】には、1年後の目標として売上高が、2年後の目標として雇用の増大が、5年後の目標として売上高と知名度の向上が記載されていました。そこで、1年後と5年後だけでなく、5年間の各年における売上高目標を設定していただきました。
売上がないと利益がありません。口コミも発生しませんし、従業員は業務経験を積むことができません。資金繰りにも支障を来たします。つまり、売上高は事業の生命線ですから、その目標を設定することの重要性は高いはずです。
「今後のプラン」の落とし穴
【今後のプラン】には、補助金を使っていつ何を行うか、という補助事業の計画が記載されていました。このパターンは非常に多いのですが、これは、次に続く<補助事業計画>に記載するべき内容です。
補助金を申請するために書いているわけですから、どうしても「補助金を使って何を行うか」という内容に寄ってしまう気持ちは理解できます。しかし、経営者は高所大所からの視点が必要であり、ここでは補助事業を含めた全体の計画に着目する必要があります。
ポイントは、前述の「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」で示した「人」「物」「金」「情報」という経営資源を5年間かけてどのように充実させるか、というプランを考え、記載することです。
今回のコラムでは、様式2の<経営計画>のうち「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」「4.経営方針・目標と今後のプラン」について、採択の可能性を高めるポイントを事例で見てきました。次回のコラムでは、同じエステサロンの事例を用いて様式2<補助事業計画>と様式3の完成度をいかに向上させたかを見ていきます。
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引用:朝日新聞デジタル